なんか、いい

一輪の花

namytone

そこかしこに花が咲き、気持ちまでふわっと軽くなる季節ですね。
道端の小さな花や、芽吹きはじめた木々を見ていると、
季節はちゃんと巡ってくれるのだなと、ほっと安心します。

街に出ると、切花を抱えた素敵な女性をときどき見かけます。
あの花はどんな花瓶に飾られて、どんなお部屋の景色をつくるのだろう。
想像するとウキウキしてきて、私も花を買って帰ろう……!と花屋へ。

花を飾ると、部屋の空気がふっと変わりますよね。
たくさんの花を飾るのも素敵ですが、一輪の花がとても好きで。

キッチンに一輪あるだけで、朝が楽しくなります。早起きすると出会える光と影のアートも。

花束がシャンデリアだとしたら、一輪の花は一灯のペンダントライトのような。
小さな灯りだからこそ、かたちや光の美しさが際立つように、
一輪だからこそ、その花がもつ生命力や、静かに漂う空気の豊かさを
より深く感じられる気がします。

庭に咲いている薔薇も、一輪だけ。

「美しくていねいに暮らす」ことの達人として知られる織田憲嗣さんは、
「本物体験」についてこんなことをおっしゃっていました。

ー本物体験とは、高価なものを手に入れることではなく、
一輪の野の花を手にとって、美しいと感じられることー

一流の舞台や食事、遠い国への旅。そうした体験ももちろん本物。
でも、それだけではなくて、もっと近いところに本物はあるのだと教えられた気がしました。
一輪の花に目を向けて美しいと感じることは、
いちばん素直で、本能的で、すぐそばにある「本物」への入り口なのかも。

名前も知らないその辺の草花を撮るのが好きなのですが、
写真を見返すと、一輪の花ばかりを選んでいることに改めて気づきました。
たくさん咲いている中でも、ふと目に留まる一輪。

アザミでしょうか。これはGoogleレンズで調べなくても名前がわかりました。
いっぱい咲いているのに、この花だけ、残したいと思ったのです。

それを見つける感覚は、自分にとって大切な存在を見つけることに、
どこか似ているのかもしれません。

大切な存在は、そんなにたくさんいらないことも、一輪の花は教えてくれます。

ABOUT ME
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元消防士(16年)からフリーランスへ転身。 なんかいいな、と思う日々のことを、撮ったり、書いたり、考えたり。namytoneブランドや、執筆活動をとおして、それらをカタチにしていくことをテーマに活動しています。
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